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薬と健康のトピックス

vol.62 熱中症

目次
01.熱中症とは?
02.熱中症のしくみ
03.熱中症の症状
04.熱中症の予防
05.熱中症の応急処置

1熱中症とは?

暑さが原因で起きるさまざまな体調不良の総称です。意識障害や臓器の機能低下など重症化することもあります。毎年、6~9月に2万人以上が救急搬送され、数百人が死亡しています。
夏の気温が昔より高くなっていることもあり、都心部はヒートアイランド現象により気温が上昇しやすく、夜になっても熱が冷えにくいため、気温が下がりません。熱帯夜も増えており、高齢者は特に注意が必要です。
初期の症状は疲労や夏風邪と思い軽く思われがちですが、暑い場所にいたあとの体調不良は、熱中症を疑った対処をしたほうが良いと思います。

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2熱中症のしくみ

人間の体内の温度は37℃くらいに保たれています。暑くなると抹消血管が拡張して血流が増加します。抹消血管は皮膚の表面に近いため、血液は外気で冷やされ体内の内部の熱を下げ、同時に汗をかいて、体表から熱を奪いながら蒸発して熱を下げます。この働きがなんらかの要因で妨げられると体内の温度が上がります。

  • 血流低下・・・外気と体内の温度差が少なく、湿度が高く風がない状況だと汗が蒸発しにくく熱を排出しにくくなります。血液中の熱を排出しようと抹消血管に血液が集まることにより、脳、内臓への血流が減り、めまい、立ち眩みといった症状を起こします。
  • 体内の水分がすくなる脱水症状を起こすと汗をかけなくなり、体内の熱が下げられなくなります。また、血流不足の状態では脳、心臓の働きも低下するので、全身の血流循環も悪くなり頭痛、意識障害なども重篤な症状を起こします。

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3熱中症の症状

熱中症の症状はめまいや立ちくらみ、気分が悪い、筋肉のつりなどの初期症状に始まります。これらの症状は脳や内臓の血流が低下することにより起こります。脳に十分な血液が届かなくなるとめまいなどの症状が起こり、筋肉のつりなどの症状は筋肉の血流の低下や発汗によるナトリウム不足により起こります。
熱中症が重症化すると頭痛や吐き気、体のだるさなどが生じます。これらは脳、内臓の血流低下に加え、体の内部の温度が急激に上昇することによって起こる症状です。
さらに重症化すると意識障害や、けいれん、ひきつけ、肝臓や腎臓など内臓の機能障害、血液の凝固異常(出血しやすくなったり、血が固まりやすくなったりすること)といった重篤な症状につながります。

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4熱中症の予防

熱中症の予防のためには、脱水を防ぐため水やお茶などでこまめに水分を補給することが大切です。また、大量に汗をかくと、塩分も失われます。食事が十分にとれていれば問題ありませんが、場合によってはスポーツドリンクなどを利用した塩分補給も必要です。十分に食事をとれない場合や下痢などにより水分、塩分が失われている場合は経口補水液を利用するとよいでしょう。ただし、腎臓病や心臓病、高血圧などで水分や塩分の摂取制限がある場合はかかりつけ医に適切な摂取量を相談しておきましょう。
水分、塩分の補給以外には体の内部の温度を上げないようにする工夫が必要です。日中の熱い時間帯の外出をできるだけ避けましょう。外出時はこまめに涼しい場所で休憩をはさむとよいでしょう。また、熱中症の40%程度は室内で起こっているという統計があります。室内の温度や湿度が上がりすぎないように、エアコンと扇風機などを併用したり、カーテンなどで日差しを遮るようにしましょう。特に高齢者は暑さを感じにくくなっているため、気温の上昇にも気づきにくくなっています。家族など周囲の人がエアコンのスイッチを入れるよう促すことも大切です。

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5熱中症の応急処置

  • 涼しい環境へ移す
    風通しのよい日陰や、できればクーラーが効いている室内などに避難させましょう。
    衣服を脱がせる・ゆるめる衣服を脱がせて、身体の熱を逃がしましょう。
    きついベルトやネクタイ、下着はゆるめて風通しを良くしましょう。

  • 身体を冷やす
    皮膚に水をかけて、うちわや扇風機などで扇いで身体を冷やしましょう。
    下着の上から水をかけるのも良いでしょう。
    身体を冷やす時は、脇の下や首や足の付け根など、体の表面近くの太い静脈がある場所を冷やすのが効果的です。
    保冷剤や氷枕、なければ自販機で買った冷えたペットボトルや缶をタオルでくるんで当てましょう。
    熱が出た時におでこに市販のジェルタイプのシートを張っている方をよく見かけますが、残念ながら身体を冷やす効果はありません。
    そのため熱中症の治療には効果はありません。
    体温が40℃を超えると全身けいれんや血液が固まらない状態になるなど、危険な症状も現れます。そのため、体温の冷却はできるだけ早く行う必要があります。重症者を救命できるかどうかは、いかに早く体温を下げることができるかにかかっています。

  • 水分・塩分の補給
    意識がはっきりしている場合は、冷たい水を持たせて自分で飲んでもらいましょう。冷たい飲み物は胃の表面から身体の熱を奪い、脱水症状を改善させます。
    大量の発汗があった場合には、汗で失われた塩分も同時に補える経口補水液やスポーツドリンクなどが最適です。
    水1リットルに対し1〜2グラムの食塩を入れた食塩水も有効です。

    呼び掛けや刺激に対する反応がおかしいときや、応答自体がないときは、無理やり口から水を飲ませないでください。
    水分が気道に流れ込んでしまう可能性があります。
    また吐き気、嘔吐している場合には、口から水分を入れるのは禁物です。病院で点滴治療を受けましょう。

  • 医療機関へ運ぶ
    意識がない、呼びかけに対する返答がおかしい、全身のけいれんがあるなどの症状を発見した場合は、ためらわずに救急車を呼んでください。
    さらに、自分で水が飲めない場合、脱力感や倦怠感が強く動けない場合、また応急処置をしても症状が悪化していく場合も、病院へ搬送しましょう。

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