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薬と健康のトピックス

vol.58 腰痛

目次
01.腰痛とは
02.椎間板ヘルニアとは
03.腰部脊柱管狭窄とは

1腰痛とは

腰痛

姿勢や動作を支えている背骨の腰の部分である腰椎に異変が起きると、
文字通り“腰の痛み”を引き起こします。腰椎は5つの骨のブロックが積み上げられて構成されており、この骨のブロックを椎骨と総称されています。

椎骨と椎骨の間にはクッションの役割をする椎間板があります。
椎間を上から見ると、脊柱管と呼ばれる細い空間があり、その中には脳から下半身につながる神経の束が通っています。椎骨が変形して脊柱管が狭くなったり、椎間板にひびが入り中身が飛び出すことにより神経が圧迫されて、腰痛や下半身のしびれなどの異変を感じるようになります。

こうした神経の圧迫が腰痛の原因になります。

腰痛の原因

原因が特定できる腰痛は全体の約15%で、そのうち腰痛全体の約1%を占める重い脊椎の病気として、化膿性脊椎炎、がんの骨への転移、骨折などがあり、約30万人の患者さんがいると考えられています。

また腰痛全体の約2%を占める内臓の病気によるものとして、慢性膵炎、尿路結石、慢性の十二指腸腫瘍、子宮内膜症などがあり、これは約60万人いると考えられています。

腰痛全体の約10%を占めるものとしては、腰部脊柱管狭窄や椎間板ヘルニアなどで腰の神経が障害されて起こるものとされています。腰痛全体の約2%は、生活習慣、ストレスや不安、不眠などの心の状態が影響していると考えられています。
その他、残りの約85%は原因を特定しにくい非特異的腰痛で、一般的に腰痛症や坐骨神経痛と診断されます。この原因を調べるためには、椎間関節の神経などを麻痺させて痛みが取れるかを確認する必要があるため、治療が優先されます。

症状

以下の症状がある場合、危険な腰痛の可能性が高いため、早めに整形外科を受診することをオススメします。

  1. じっとしていても痛む
  2. 背中が曲がってきた
  3. お尻や脚が痛む・しびれる
  4. 足のしびれにより長く歩けない
  5. 体を動かした時のみ腰が痛む(危険なし)

    ※ただし、3ヶ月以上症状が続く場合は受診する。

対処法としては、できるだけ普段通りの生活を送り、ウォーキングやリラックスできる時間を作ることで、脳の血流がよくなり、脳の中で痛みを抑えられることがわかっています。 自分の楽しみを見つけて、生活の中に取り入れましょう。

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2椎間板ヘルニアとは

腰椎は5つの骨で構成されており、骨の間にはクッションの役割をする椎間板があります。
その椎間板から内部の髄核というゼリー状の組織が一部飛び出して神経を圧迫するのが椎間板ヘルニアです。若い世代に多く発症して、男性のほうが多いといわれています。

椎間板ヘルニア

発症理由としては遺伝、喫煙などが考えられます。一般的に腰痛から始まり、その後お尻や脚にしびれや痛みが起こってきます。前かがみになると痛みが悪化することがあります。
症状が腰痛のみの場合は、そのまま経過をみることがありますが、
神経に障害が起きていると思われる場合は注意が必要です。

お尻や脚にしびれ、痛みが1週間以上続く場合は受診をしましょう。まれに頻尿、尿漏れが起こり、進行すると歩行困難などから寝たきりになることもあります。

椎間板ヘルニアの治療

椎間板ヘルニアの治療は腰痛や下肢痛、しびれなどの改善を目的とする薬物療法が基本となります。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェン、非麻薬性オピオイドのトラマドール、トラマドールとアセトアミノフェンの配合剤が腰痛に対して使用されます。
また、神経障害性疼痛に対してはプレガバリンやデュロキセチンが使用されます。 痛みの強さによって、硬膜外ブロックや神経根ブロックと呼ばれる注射による治療が行われる場合もあります。これにより痛みや筋肉の緊張を抑えたり、血行を改善したりします。

膀胱直腸障害などの馬尾症状や下垂足などの進行性神経麻痺がある場合、薬物治療で2~3か月様子を見てもよくならない場合、あるいは仕事の都合などですぐに症状を取る必要がある場合は手術が検討されます。
腰痛の予防には正しい姿勢をとり、中腰や重いものを持ち上げるなどの負担のかかる姿勢を避けることが有効とされています。また、同じ体勢をとり続けることもよくないとされていますので時々体を動かすこともよいでしょう。

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3腰部脊柱管狭窄とは

腰部脊柱管狭窄は、背骨の腰の部分の脊柱管が狭くなり、その中を通る神経が圧迫されて、腰痛のほかに下半身のしびれや痛みなどが起こる病気です。
また運動機能が障害され、立つ、歩くといった機能が低下するロコモティブシンドロームの原因の1つです。症状が進行すると介護が必要となる危険性が高まります。
多くは加齢によって発症します。早い人では40歳代後半から起こり出し、年齢とともに発症頻度が上昇します。
性交痛に悩んでいる人も少なくありません。ダグラス窩や子宮を支える靭(じん)必ず現れる症状が、脚のしびれや痛みです。腰痛は必ず起こるわけではありません。 腰部脊柱管狭窄が進むと、尿もれや頻尿などの排尿障害が起こってきます。

腰部脊柱管狭窄は、圧迫されている神経の場所によって馬尾型と神経根型に分けられます。

馬尾型
脊柱管を通る神経の束が馬尾です。馬尾が圧迫されると両脚にしびれが起こります。また、膀胱の機能も調節しているため、進行すると排尿障害が現れたりする可能性があります。
神経根型
馬尾から左右に分かれた神経の根元が神経根です。神経根の膨らんだ部分は、痛みのセンサーとしての働きを持っているため圧迫されると非常に強い痛みが起こります。ただし、90%以上は、数年以内に自然によくなります。

どちらのタイプか調べるためにも、脚のしびれや痛みが1週間以上続く場合は、整形外科を受診しましょう。

治療
保存療法
保存療法には、痛み止めを服用する薬物療法や圧迫されている骨の近くに局所麻酔薬を注射する神経ブロック療法、マイクロ波を患部にあてて温めるホットパック療法などがあります。
薬物療法
  1. NSAIDs
    最もよく使われる痛み止めで炎症を抑える作用もあります。
  2. プロスタグランジンE1製剤
    血管を広げ、血流を改善することにより痛みを和らげる効果があります。
  3. 神経性疼痛緩和薬
    末梢神経の障害による痛みを和らげる効果があります。
  4. オピオイド鎮痛薬
    NSAIDsなどでもおさまらない痛みに対して用いる鎮痛薬です。
  5. 漢方薬
    筋肉痛や神経痛を和らげる効果があります。
手術
保存療法で一向に効果がない場合、痛みがひどい、歩行障害、麻痺が強くて日常生活や仕事に支障がある場合などには、医師と十分に相談をしたうえで手術をおこなうことがあります。
手術は神経を圧迫している骨を取り除く除圧術が行われ、腰椎の片側だけから侵入し、同側を開窓式に除圧し、対側は全く開かずに侵入側から斜に観て除圧する方法で顕微鏡や内視鏡を使用し小切開、小侵襲で行われます。手術時間は1~2時間で入院も1~2週間くらいといわれています。
生活指導
痛みがひどいときは安静にしたほうが良いが、痛みがそれほどでなければ軽い運動を行うことも効果的です。安静にしていると腰の周りの筋肉が弱まるので症状が進行しやすくなります。
長時間同じ姿勢のままでいることや、喫煙は血流を悪くするので控えましょう。
腰を少し前かがみの状態に保つため、フレクションブレースというコルセットを装着したり、杖をついたりするのもよいでしょう。

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