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薬と健康のトピックス

vol.56 食物アレルギー

目次
01.食物アレルギーとは
02.食物アレルギーの症状・原因
03.食物アレルギーの診断と品目
04.食物アレルギーの治療法

1食物アレルギーとは

食物アレルギーとは、食べ物に含まれるタンパク質(アレルゲン)が、過剰な免疫反応を起こし、体に有害事象が起こることです。

多くの場合、食べ物を摂取して数分から1時間以内に蕁麻疹や腹痛などの症状がでる即時型ですが、数時間以上経過してから湿疹の悪化や下痢などがみられる遅延型もあります。

重症になると、アナフィラキシーと呼ばれる呼吸困難や血圧低下などの反応が引き起こされ、生命を脅かすショック状態に陥ることもあります。

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2食物アレルギーの症状・原因

症状

食物アレルギーの症状は多彩で、出現する部位や頻度、摂取から症状発現までの時間など様々なタイプがあります。また、いつも同じ症状が起きるとは限りません。

皮膚症状
蕁麻疹や痒み、赤みが主にみられ、酷い場合は、まぶたや顔全体の浮腫みなどが現れることもあります。
粘膜症状
口の中や唇、舌、喉の違和感や腫れ、喉の痒み、イガイガ感、結膜充血などがみられます。
呼吸器症状
鼻汁や鼻閉、くしゃみ、咳、喘鳴、胸部圧迫感、喘息発作、呼吸困難などがみられます。特に喘息発作、呼吸困難などは生命予後にも関わる重篤な症状として注意が必要です。
消化器症状
腹痛や悪心、嘔吐、下痢、血便などがみられます。症状の訴えが軽くてもアナフィラキシーなど全身症状の初期症状の可能性もあるため注意が必要です。
循環器症状
血圧低下やショック状態がみられます。
原因

私たちの体には、体内に侵入してきた異物に対して抗体「IgE」を作りこれらを攻撃して体を守ろうとする働きがあります。この働きが、ある特定の物質に対して過敏に反応してしまうのがアレルギー反応です。

食物アレルギーは、食べ物に含まれるタンパク質が主に異物(アレルゲン)として認識され、症状が引き起こされます。

子供に多いようですが、成長段階のため消化機能が未熟でアレルゲンであるタンパク質を小さく分解(消化)する事が出来ないのがひとつの要因と考えられています。

成長により消化吸収機能が発達してくると、原因物質に対して耐性ができ、食べられるようになる可能性が高いですが、中には大人になっても症状が続く事もあります。幼児期後半以降や成人になって発症した食物アレルギーは治りにくいとされています。

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3食物アレルギーの診断と品目

食物アレルギーの診断
問診
食物アレルギーの有無を知る第一歩は、どんな食事を食べて、どのような症状が出たかを把握することです。アレルギーの原因として疑わしい食物については、食べた食品や量、症状の様子、食べてから症状出現までの時間などをしっかり伝えてください。
血液検査
血液の中にアレルギー反応を引き起こすIgE抗体が、どの食物に対してどれくらいあるかを調べる方法です。結果は0~6といった抗体価(スコア・クラス)で表示され、スコアが高いほど、抗体がたくさんあることを示していますが、抗体価の高さと症状の強さは、一致するとは限りません。なので、この血液検査結果だけで食物アレルギーが診断できるものではありません。
皮膚プリックテスト
血液検査と同じくどの抗原に対して反応が高いかを調べる検査です。採血の必要がなく、手軽にできてその場で結果がわかる、値段が安いという利点がありますが、アレルギーの強い人の場合、全身に反応が起きる危険がありますので注意が必要です。
  1. スクラッチテスト
    腕など皮膚表面に針で小さな傷をつけて、疑われる食物抗体のエキスを1滴付け、その部位が赤く変化するかどうかを観察する方法です。
  2. パッチテスト
    小さな紙に食物抗体のエキスを染み込ませて腕に貼ります。その後、剥がしたときに皮膚が赤く変化しているかどうかを観察する方法です。

これらの検査は、体質としてアレルギーを起こす「可能性があるかどうか」を見る検査です。アレルギー検査で陽性であっても、必ずしも、食物アレルギーとして症状を起こすわけではありません。

そこで重要になる検査が除去試験と負荷試験です。

食物除去試験
食物抗原の疑いがある食品を1-2週間完全に除去して症状が改善するかどうかを観察する方法です。この検査は改善するかどうかをみる検査なので、安心して受けられるのがメリットです。一方で原因と思われる食品を完全に除去する必要があるので、食べるものが限られるのが難点です。また、授乳中の場合はお母様も除去が必要です。
この除去試験でその食物が「疑いがある」という結果が表示されても、まだ確定ではないので食物負荷試験において確定診断をしていきます。
食物負荷試験
症状を引き起こした際に食べていた食物抗原の疑いがある食品を実際に体の中に取り入れて、その後に症状が発現するかを観察する方法です。アレルギー反応が出る可能性があるので、本人には負担のかかる検査です。ショック状態になったり、喘鳴、蕁麻疹、意識がなくなったりするアナフィラキシーを起こすこともあるので、この検査は慎重に行う必要があります。
食物抗原を突き止めることができ、除去の継続性を調べるためにも重要な検査ですが、本人への負担が大きいので医療機関とよく相談の上で行っていきましょう。

食物アレルギーの原因となる食品

えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生

アレルギーの原因となることが知られている食品のうち、これらの7品目は、患者数の多さや症状の重さから、原材料として使った場合だけでなく、原材料を作るときに使った場合も、これらが使われたことがわかるよう必ず表示してあります。

あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

アレルギーの原因となることが知られている食品のうち、これらの20品目は、上の7品目と同様に、これらが使われたことがわかるよう表示することが勧められています。

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4食物アレルギーの治療法

治療としては、まず原因となるものを食べないことが大切です。対処法や治療法として

  • アレルゲンの除去
  • 薬物療法
  • アレルゲン免疫療法

などがあります。

薬物療法
アレルギー症状を抑えるアレルギー治療薬などを使用します。飲み薬や目薬、鼻に直接噴霧する薬など、患者さんの症状の種類や強さに合わせた薬が処方されます。
アレルゲン免疫療法
アレルギーの原因となるアレルゲンを低濃度、少量から投与し、徐々に増量、高濃度へ移行させ、アレルゲンにならしていきます。
エピペン
アレルゲン摂取によるアナフィラキシー発現時に対する治療薬としてエピペンがあります。
安全キャップを外して大腿部に強く押しつけることにより自己注射を可能にしています。
自己注射液は処方されたらカバンに入れて持ち歩くなど、常に患者さん本人の身の回りにある状態にしておくことが大切です。
このほか、自己注射を使用した後は速やかに医療機関に受診しなければならないなど、いくつか注意点があります。詳しくは処方を受ける際に担当医師へお尋ね下さい。

アレルギーは患者さんの状態が不安定な時に出現しやすい傾向があります。疲れやストレス、睡眠不足、風邪を引いたときは注意が必要です。さらに適度な食生活や皮膚のケアをおこない、粘液バリアを正常に保ち続けるなどのトータルライフケアが、食物アレルギーの診療でも大切だと考えられています。

また、食物アレルギーがある患者さんに対して注意しなければならない医薬品もあります。
禁忌と明記されている医薬品
牛乳:タンナルビン
ゼラチン:エスクレ
問診時にきちんとアレルギーの有無を記載しましょう。健康被害を防ぐことが可能になります。

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