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薬と健康のトピックス

vol.54 パーキンソン病

目次
01.パーキンソン病とは?
02.症状と進行の仕方
03.よく使われるパーキンソン病治療薬の分類と特徴
04.よりよい日常生活のために

1パーキンソン病とは?

パーキンソン病は神経変性疾患で、震えと筋肉のこわばりを伴い、動作が遅くなったり倒れやすくなったりする症状がみられます。

脳内の黒質ドパミン作動性ニューロンの変性で、それによる線条体のドパミン低下によって諸症状が引き起こされると考えられています。

最初に起こる症状は震えが最も多く、次いで歩行障害や筋肉のこわばりなどが続きます。

近年この病気に対する研究が目覚ましく進歩し、新しい薬が次々と開発されています。そのため適切な治療によって、病気でない人と同じような生活を送ることが出来るようになってきました。

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2症状と進行の仕方

パーキンソン病の症状やその出かたは人によって異なりますが、主なものは手足の震え(振戦)、筋肉のこわばり(筋固縮)、動作が遅くなる(動作緩慢)倒れやすい(姿勢反射障害)といったものが典型的な症状です。

まず動作をしていない時(安静時)に、手足や頭が震えるといった症状が強く出るのが特徴的です。 歩行が遅くなり、歩幅も小さくなって小刻みに歩くようになります。そして歩き初めの第一歩目が踏み出しにくくなります。(すくみ足)

腕を曲げ伸ばしするときにガクガクした筋肉の抵抗が感じられるようになります。また、倒れそうになったときに姿勢を立て直そうとする反射が障害されて、そのまま転倒してしまうことがあります。 ちょっと押されただけでも踏みとどまることが出来ず、進行方向に突進してしまいます。

パーキンソン病は急速に進行するものではありませんが、進行の程度にステージが設けられています。それが以下に示すホーン・ヤールの重症度分類です。

Hoehn and Yahr(ホーン・ヤール)の重症度分類
ステージⅠ
片側だけに震えや筋肉のこわばりがみられる。
ステージⅡ
姿勢が前のめりになり、震えなどの症状が両側にみられる。日常生活に多少の障害が出てくる。
ステージⅢ
方向転換が不安定で歩行障害や突進現象がみられる。日常生活にある程度制限が出てくる。自力での生活は可能だが職種によっては仕事が困難になってくる。
ステージⅣ
起立や歩行などの動作が困難になり、自力のみによる生活は難しく介助が必要となってくる。
ステージⅤ
起立、歩行が不可能で日常動作に全面介助が必要となる。

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3よく使われるパーキンソン病治療薬の分類と特徴

分類 特徴 薬剤名
レボドパ製剤
(L-dopa、L-ドパ)

脳内に不足したドパミンを直接補充する、パーキンソン病治療の中心となる薬。

長期間服用し続けると、薬の効いている時間が短くなって「ウェアリング・オフ」が現れたり、「ジスキネジア」が出やすくなるため、治療初期は少ない量から服用を始める。

レボドパ単剤(レボドパのみを含有した薬)と、レボドパ配合剤(レボドパは体内で分解されやすいため、その分解を防ぐ薬とレボドパを一緒に配合した薬)がある。

マドパー配合錠
メネシット配合錠
ドパミン受容体刺激薬
(ドパミンアゴニスト)

脳内には、ドパミンが結合してドパミンの働きを引き出す場所(受容体)がある。その場所(受容体)に、ドパミンの代わりに結合して刺激し、ドパミンの働きを補う薬。

効き目は長く続くが、レボドパより弱い。

パーロデル錠
ペルマックス錠
カバサール錠
ビ・シフロール錠
ミラペックス錠
レキップ錠
COMT阻害薬

レボドパを体内で分解してしまう「COMT(コムト)」という酵素の働きを抑える薬。

酵素COMT(コムト)を阻害することでレボドパが体内で分解されにくくなるため、レボドパが脳内に届きやすくなり、ドパミンの効き目が長く続いてウェアリング・オフが改善される。

コムタン錠
MAO-B阻害薬 ドパミンを脳内で分解してしまう「MAO(マオ)」という酵素の働きを抑える薬。 エフピー錠
ドパミン遊離促進薬 脳内の神経細胞からドパミンが放出されるのを促進させる薬。 アマンタジン錠
レボドパ賦活型
パーキンソン治療薬

ドパミンの前駆物質であるドパの合成を促進させる。

ドパミンを脳内で分解してしまう「MAO(マオ)」という酵素の働きを抑える。

トレリーフ錠
抗コリン薬 脳内のドパミン量の減少によって相対的に高まった「アセチルコリン」の働きを抑える薬。 アーテン錠
アキネトン錠

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4よりよい日常生活のために

パーキンソン病の患者さんは、意欲の低下や無動症状、姿勢反射障害のため同年齢の人に比べて運動不足になりやすく、体を動かさないために身体機能の低下が生じやすいです。

1:意識して体を動かしていきましょう 

散歩やストレッチ、ラジオ体操などで首から足までゆっくり身体を動かして運動不足の解消や気分転換を図りましょう。また、可能であれば毎日の生活にリハビリテーションを取り入れ、身体の機能を維持回復させていきましょう。

2:十分な水分補給やバランスの良い食事を心がけましょう

薬の副作用により便秘になりやすいので十分な水分とバランスの良い食事を摂るようにしましょう。また、出来るだけ自分の手で食事をすることも大切です。咀嚼や飲み込みが大変な場合は食物を小さく切り、やわらかいものを食べましょう。また、箸や茶碗を持ったりすることが困難であれば、スプーンやストローなどを利用してみましょう。

3:病気としっかり向き合うことや家族のサポートが必要

パーキンソン病と診断されると落ち込む方も多いかと思います。自分の症状や状態、さらに治療法などよく理解し、病気と向き合っていきましょう。ひとりで病気を抱え込むことはよくありません。家族に病気と症状を理解してもらい、医師と共に治療に取り組んでいきましょう。

〈日常生活をより快適にするために工夫と室内の改善〉
  • 廊下の曲がり角や階段、トイレ、風呂場などに手すりをつける。
  • 風呂場は水や石鹸で滑りやすいので滑り止めマットを敷く。
  • 寝室の電灯は寝たままで届くくらいの長いヒモを付け、ヒモの牽引で点灯・消灯ができるようにする。
  • 転倒時などケガから身を守るために頭部を保護する帽子や膝や肘を保護するサポーターを装着する。
  • 歩行時はかかとから着地し、できるだけ歩幅を広くする。またその時に背筋を伸ばし、顔をあげて意識して手を振って歩くようにする。

以上のように家の中で出来る事はたくさんあり、家族のサポートはとても大切です。

一般的に、あせったり緊張したりすると、ふるえなどが強くなり、動作がうまくいかないことが多くなります。日常生活では、できるだけリラックスして過ごしましょう。

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