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薬と健康のトピックス

vol.45 変形性膝関節症

目次
01.変形性膝関節症とは
02.変形性膝関節症の診断
03.変形性膝関節症の治療
04.自宅でできる簡単予防体操!

1変形性膝関節症とは

膝関節の軟骨が擦り減ることで痛みや腫れが起き、それが長期に続くことで膝関節の変形をきたす病気です。

骨と骨の間には軟骨というやわらかな組織があり、衝撃を和らげたり関節が滑らかに可動出来るようにしたりしています。
ここが擦り減って摩擦が生じるようになると、壊れた軟骨によって関節内の内側にある滑膜に炎症が生じます。
関節液が溜まって腫脹を起こすこともあります。

また、骨そのものにも影響がおよび、軟骨の下の骨が硬くなったり、骨棘(こつきょく)とうい突起が出来たりして関節の変形が起こります。
初めのうちは膝の曲げ伸ばしによる痛み程度ですが、病状が進行すると膝関節の可動域制限が出てきて、歩行時の痛みはもちろん、安静時にも痛みを伴うようになり日常生活に大きな障害となります。

我が国の変形性膝関節症患者は、程度の幅はありますが65歳以上の高齢者では80%が罹患しているとの報告があります。
発症率は男性よりも女性の方が1.5 ~2倍 高くなります。

正常 膝関節は大腿骨と脛骨から成る関節です
正常な膝関節は関節表面が軟骨組織で覆われています
初期から中期 関節軟骨が擦り減ってきても、初期段階では自覚症状はほとんどありません。
軟骨の摩耗がある程度進行してくると、起立や屈伸運動、歩行などが膝への負担となってきます。
関節炎がおこったり、関節液が多量に溜まったするようになり痛みを伴います。
進行 軟骨の摩耗がさらに進行すると、骨棘が形成されて、骨自体が変形してきます。
膝を動かす度に骨同士がぶつかり強い痛みを生じます。
曲げ伸ばしの制限(可動域制限)が大きくなり、日常生活に大きな障害となります。

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2変形性膝関節症の診断

立ち座りの動作や歩行時に痛みの訴えがあるか、関節液が溜まっているか、単純X線写真で膝関節の骨と骨の隙間が狭くなっているか、骨棘が形成されているか、軟骨下骨の硬化がみられるか、などによって診断されます。

関節リウマチなど他の病気が疑われる場合には、血液検査や関節液検査が行われることがあります。

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3変形性膝関節症の治療

治療には保存的治療と手術療法の2つがあります。
保存的治療とは薬物療法や運動療法、装具療法などです。

保存的治療(薬物療法)

薬物療法では炎症や痛みを抑える目的で内服薬や外用薬、注射薬によって治療が行われます。
内服薬では主にアセトアミノフェン製剤や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が使用されます。

アセトアミノフェン製剤は、アルコールとの併用で肝機能障害が現れやすくなるので注意が必要です。
1日1500mgを超す高用量での長期服用では、肝機能検査を定期的に行った方がよいでしょう。

NSAIDsは、シクロオキシゲナーゼ(COX)によるアラキドン酸のプロスタグランジンへの代謝を抑制して痛みと炎症を軽減させます。
胃腸障害が起こり易い点に注意が必要です。
しかし近年、従来のNSAIDsよりも胃腸障害の少ない薬が開発され、広く使用されてきています。

  • エトドラク(商品名:ハイペン、オステラック)
  • メロキシカム(商品名:モービック)
  • セレコキシブ(商品名:セレコックス)など。

NSAIDsよりも強力な非癌性慢性疼痛に対して使用できるオピオイドも登場してきています。悪心、嘔吐、便秘などの消化器症状が起こり易いという副作用はありますが、少量から漸増していけばある程度副作用の軽減を図れます。

  • トラマドール塩酸塩(商品名:トラマールカプセル)
  • トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合錠(商品名:トラムセット配合錠)

外用薬は局所の炎症、疼痛に対して使用されます。さまざまな種類の消炎鎮痛薬を含んだパップ剤や軟膏があります。基剤の違いで使用感やかぶれなどの皮膚反応が異なります。

  • パップ剤(商品名:アドフィードパップ、イドメシンコーワパップ、モーラスパップ、ロキソニンパップなど)
  • テープ剤(商品名:ボルタレンテープ、モーラステープ、ロキソニンテープなど)
  • クリーム剤(商品名:イドメシンコーワクリームなど)
  • ゲル剤(商品名:イドメシンコーワゲル、ボルタレンゲル、ロキソニンゲルなど)
  • ローション剤(商品名:インテバン外用液、ナパゲルンローションなど)

注射薬では関節内にヒアルロン酸ナトリウムやステロイド剤が使用されます。
一般的に用いられるのはヒアルロン酸製剤です。変形性膝関節症患者の関節液はヒアルロン酸の濃度や分子量が低下しています。
関節内に注入することで関節軟骨の保護や修復効果が得られます。
ステロイド剤は優れた抗炎症作用を持つため、炎症症状が強い場合に関節内注入されます。しかし副作用として感染症、ステロイド関節症(急速な軟骨破壊が起こる)があるため頻回投与はされません。

保存的治療(運動療法)

運動療法は関節の働きを保つために欠かせません。
ストレッチや水中歩行、サイクリング、家庭でできる簡単な運動を行うことで関節の動く範囲を広げ、関節周りの筋肉を鍛えることができます。
運動は肥満の解消につながり、膝関節の負担を軽減することができます。
ただし、激しい運動をすると病気を悪化させてしまう恐れがあるので、医師や理学療法士の指導を受けて、無理なく継続できる運動を行うことが大切です。

保存的治療(装具療法)

装具療法は関節を保護したり支えたりするために装具や補助器具を使用する事です。
装具には足底板やサポーターなどがあります。
足底板は靴の中に入れたり足に直接つけたりするもので、歩行時に膝にかかる負担を軽減し、関節を矯正して痛みを和らげるものです。
サポーターは膝の安定感を高め、保温効果によって痛みを和らげます。

手術療法

手術療法は保存的治療の効果が不十分な場合や関節の変形が酷く、日常生活に著しい支障がある場合に考慮されます。
変形性膝関節症の進行程度によって関節鏡視下手術、荷重方向を変えるための骨切り手術、末期では人工膝関節手術が行われます。

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4自宅でできる簡単予防体操!

この運動は、大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)を鍛える運動です。
筋肉を鍛えると同時に、関節軟骨の代謝も促進します。

  1. 椅子に深く腰掛け、太ももが水平になるまで、5秒間くらいかけてゆっくりと片足を上げていきます
  2. できるだけ膝をまっすぐに伸ばし、つま先も立ててみましょう
  3. その後、5秒間くらいかけてゆっくりと足をおろします
  4. 慣れてきたら、重りをつけて同様に行いましょう

※無理をせず、個々のペースで行いましょう!

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