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薬と健康のトピックス

vol.44 認知症

目次
01.認知症とは
02.認知症の種類
03.認知症の治療薬
04.認知症の方への接し方・介護のポイント

1認知症とは

認知症とは、正常に発達した脳がさまざまな原因によって脳の細胞が死んだり、働きが悪くなったりした為に記憶力・判断力などの障害が起き、生活する上で支障が出ている状態を言います。
しかし、ひとことで「認知症」といっても、原因となる疾患や症状はさまざまです。
認知症を引き起こす原因で最も多いものは、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」と呼ばれる病気です。
「変性疾患」には、アルツハイマー病、前頭・側頭型認知症、レビー小体病などがあります。
続いて多いのが、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などです。
これらは脳の神経の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、その結果その部分の神経細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れてしまう脳血管性認知症です。

認知症は脳の病気です。記憶力の低下、見当識障害、空間認知障害などが徐々に進行していきます。
認知症は、薬の服用により症状の進行を遅らせることができ、早く使い始めると長く健康な時間を過ごすことができます。
初期は専門の医療機関の受診が不可欠です。認知症も早期発見・早期治療が大切になります。

物忘れと認知症の違い

認知症と物忘れは違います。物忘れは加齢によるものですが、認知症は脳の病気です。物忘れと認知症を比べてみると

物忘れ
  • 食事に何を食べたか忘れてしまうなど、体験の一部を忘れてしまいます。
  • 今日の日付や曜日、今いる場所は分かります。
  • 判断力はほとんど落ちないので日常生活にそれほどの支障はありません。
認知症
  • 食べたこと自体を忘れてしまうので、体験全体を忘れてしまいます。
  • 今日の日付や曜日、住所等を忘れてしまいます。帰り道を忘れるなど、どこにいるか分からなくなります。
  • 判断力が低下し、忘れたことを自覚しなくなるので日常生活にも支障が起きてきます。

認知症は、症状が進行すると人柄が変わる、不安感が強くなる、意欲がなくなるなどの精神障害が現れてきます。
認知症には、周囲のサポートや温かい見守りも大切になります。
認知症と上手に付き合っていくためにも、まずは認知症を理解することが大切です。

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2認知症の種類

治療が困難な認知症
  1. アルツハイマー型認知症…認知症の中で最も有名で、脳内にβアミロイドという異常なタンパク質が蓄積して、神経細胞が減少し、脳の委縮が進行する病気です。40歳から90歳の間に発症することが多く、ゆっくりと症状が進行していきます。記憶障害が徐々に進行し、日付や曜日がわからなくなり身体機能が低下していきます。
  2. レビー小体型認知症…脳内の脳幹や大脳皮質に、レビー小体という異常なタンパク質が蓄積することが原因で発症します。男性は女性の約2倍の発症率で、もの忘れの症状も出るためアルツハイマー型認知症に似ていて間違われることもあります。動作が鈍い、転びやすいなどのパーキンソン症状が徐々に進行していきます。症状の変動が大きく、調子の良い時と悪い時の変化が大きいのも特徴です。
  3. 前頭側頭型認知症…脳の前の方にある前頭葉と側頭葉の委縮が徐々に進行していく認知症です。発症するケースはまれで、初老期に発症する傾向があります。症状の特徴は人格の変化や言語障害が目立ち、自己中心的な性格に変わってしまうこともあります。食事の好みの変化や偏食もみられます。
予防や治療が可能な認知症
  1. 血管性認知症…脳梗塞、くも膜下出血、脳出血などの脳卒中が原因で起こります。脳卒中の再発を予防することによって、進行を抑制できます。
  2. 慢性硬膜下血腫…頭を強く打った後、頭蓋骨と脳の間に血の塊が生じて、脳を圧迫して起こる病気です。頭を打ってから数か月後に症状が現れる事が多いです。手術によって症状は改善します。
  3. 甲状腺機能低下症…甲状腺ホルモンの分泌量が低下し、体の新陳代謝が低下する病気です。記憶障害の症状が現れますが、甲状腺ホルモンの補充で改善します。

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3認知症の治療薬

認知症の中で、アルツハイマー型認知症(AD)は大部分を占めます。
2011年、わが国では、ドネペジルに次いで新しい治療薬が3つ使用できるようになりました。

現在承認されている抗認知症薬
商品名アリセプトレミニールイクセロンメマリー
一般名ネペジルガランタミンリバスチグミンメマンチン
作用機序コリンエステラーゼ阻害NMDA‐R阻害
ドネペジル(アリセプトなど)
ドネペジルは、全重症度(軽度~高度)に対応可能な薬剤となっています。
血中半減期が健常人で約90時間と長く、服用を忘れた時には比較的影響が出にくい薬剤です。また食事の影響を受けない薬剤であり、最も多くの使用実績があります。
ガランタミン(レミニール)
ドネペジルと同様にアセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬に分類されていますが、他にニコチン性アセチルコリン(ACh)受容体への作用があります。
すなわち二重の作用をもっていることで、認知機能低下に対する、より効果的な抑制作用が期待されています。
リバスチグミン(イクセロン)
認知症の中では唯一の貼付剤で、飲み込みがうまくできない人などに対してコンプライアンスの向上が期待されています。
副作用が出現した場合には、直ちに剥がせばリバスチグミンの血中濃度を低下させることができます。
メマンチン(メマリー)
メマンチンは、コリンエステラーゼ(ChE)阻害薬とまったく異なる機序で神経保護作用を発揮します。
そのためChE阻害薬との併用が可能で、薬物治療の幅の広がりが期待できます。

アルツハイマー型認知症は、投与量を増やしながら副作用症状をコントロールし、問題のない限り服用を続けることが大切です。
ChE阻害薬の消化器系副作用(吐き気、嘔吐、下痢)は、服用中止の大きな原因になっています。
少量から服用し少しずつ増やすことによって、副作用を回避できることが多いです。

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4認知症の方への接し方・介護のポイント

記憶障害や認知障害がある為、認知症の方は不安や緊張感があります。
叱らずに、まず認めてあげる事が大切です。そして言葉の理解が不自由になると、相手の表情や語気、ふれあいなどコミュニケーションの手段も変化します。

接し方のポイントとしては

  • 顔なじみ、落ち着きを与える安心感を持つ
  • 怒らずに相手にあわせる、ゆとりを持つ
  • 説得するより気持ちを通わせ納得してもらう
  • 寝たきりや孤独にしない
  • プライドやプライバシーの尊重をする
  • 本人の過去の体験を大切にする
  • 環境の急激な変化を避ける

などが挙げられます。

また認知症の介護では、これまで出来てきた事が出来なくなった点に目がいきがちになりますが、認知症の方が出来る事を重視していく事が大切です。コミュニケーションも少し難しくなっている為、介護する側が言葉をかけてあげる事も大切になります。

介護のポイントとしては

  • 微笑み、うなずき馴染み感を与える
  • 食事は工夫してゆっくり食べさせ満足感を与える
  • 排泄は早めの声かけをする
  • 身だしなみを忘れない、気配りをする
  • 出来る事を見つけて活かし生きがい作りをする
  • 日中を楽しく過ごし夜は良い睡眠をとる
  • 妄想には話をあわせて安心感を与える
  • 自尊心を支える介護を行う

などが挙げられます。

認知症の介護は長期間にわたります。
身体的・精神的負担も症状の進行とともに大きくなります。一人で介護の負担を請け負わず身内への相談、介護保険や公的機関を利用する事も検討し介護者がゆとりをもって介護出来るようにしましょう。

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