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薬と健康のトピックス

vol.43 痛風

目次
01.痛風とは
02.肥満との関係
03.痛風、高尿酸血症の治療

1痛風とは

痛風は『痛風発作』が起こる病気で、男性に多く発症します。痛風発作は、ある日突然発症し、関節が熱をもって、赤く腫れ、激しく痛みます。
痛風発作が起こると、数日は歩けないほどの激痛がありますが、長くても1週間くらいで自然に治まっていきます。

痛風発作の多くは、足の親指の付け根の関節に起こりますが、くるぶしや膝、手首など、それ以外の関節に発症することもあります。
ただし、複数の関節に同時に起こることはほとんどなく、1か所の関節だけに発症が現れます。

痛風の原因となるのが、体内の「尿酸」という物質です。尿酸は体内では常に一定量が保たれ、多くなると体に悪影響を及ぼします。

尿酸は、多くは腎臓で処理され、排出されることによって一定量に保たれています。
しかし、尿酸の産生が多くなったり、排出が少なくなると、血液や関節液などに含まれる尿酸が増加し、尿酸値が過度に高くなる「高尿酸血症」になります。
高尿酸血症は痛風の前段階であり、痛風発作を起こしやすい状態にあります。

血液中の尿酸値が7mg/dLを超えると高尿酸血症と診断されます。7mg/dLを超えると尿酸が溶けきれなくなるので、結晶ができやすくなります。
すると痛風発作が起こるリスクも高まり、9mg/dLを超えるほど尿酸値が高まると、発作が起こる可能性が極めて高くなります。

痛風発作が起こっても、自然に治まるので、尿酸値を下げずにほうっておく人も少なくありません。高尿酸血症を放置していると、痛風発作が再発しやすくなるうえ、さまざまな合併症を起こす危険性があります。

例えば、尿酸の結晶からできた石が尿の通り道に詰まり激痛を起こす尿路結石や腎機能低下を招く場合もあります。また、高血圧や心臓病、メタボリックシンドロームとも関係していることがわかってきています。

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2肥満との関係

実は高尿酸血症と、肥満の有無の指標であるBMIとの関係を調べたデータによると、BMIの値が高くなり、肥満がにつれて、高尿酸血症になる割合が増加する傾向にありました。

BMIが25以上の人では、高尿酸血症の割合は約25%で、およそ4人に1人が高尿酸血症を発症していました。
肥満を解消することは、高尿酸血症や通風の予防につながることが明らかになっています。

肥満があると、体の中の「インスリン」の働きが悪くなります。インスリンの働きが悪くなると、体は量が不足していると判断して、すい臓からインスリンを大量に分泌するようになります。
体の中のインスリンの量が多くなると腎臓での尿酸の排出が阻害されるようになり、そのために尿酸を排出する量が減ってしまいます。

このように、肥満があることで尿酸を生産する量と排出する量のバランスが崩れてしまうために、尿酸値があがりやすくなると考えられています。

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3痛風、高尿酸血症の治療

治療法には、大きく分けて「生活習慣の改善」と「薬物療法」があります。
治療をどのように行っていくかは、痛風発作の有無、尿酸値、痛風発作以外の合併症の有無などから判断されます。

薬物療法

血中尿酸値が7mg/dLを超えたとしてもすぐに治療を始めるとは限りません。
痛風結節の有無、他の合併症(腎障害、尿路結石、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム等)の有無によって、薬物治療を開始する段階が異なります。
痛風発作がなく合併症がない場合は9mg/dLを超えるまで生活習慣の改善で様子をみることが多いです。

治療薬は発作を抑える薬、発作が起きてしまった時に痛みや腫れを抑える薬、尿酸値を下げる薬に分けられます。
尿酸産生過剰型、尿酸排泄低下型、両方の混合型があり、その人のタイプによって薬を使い分けます。発作中に尿酸を下げると悪化することがあり、尿酸降下薬は発作が治まってから服用を開始します。

急な尿酸値の変動は再発作を起こすことが多いため、少量から初めてゆっくりと下げていくのが一般的です。
尿酸値を6mg/dL以下にすることが目標となります。長期間低い状態を維持できれば服用を中止できる可能性もありますが、下がったからといって自己判断でやめてしまってはいけません。

コルヒチン
関節がむずむずする等、発作の前兆を感じた時に服用します。予防といっても毎日飲むわけではなく、発作が起こりそうな時に予防的に服用します。痛みを抑える作用はないので、発作が起きてしまった場合は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使います。
非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)
痛み、腫れといった炎症を和らげる作用があります。高用量を短期的に使用することもあり、痛みが治まったら中止することが一般的です。
副腎皮質ステロイド
NSAIDsが使用できない、又は効かない場合や多発性関節炎を生じた場合に用います。
尿酸産生阻害薬 アロプリノール、フェブキソスタット
体内で尿酸が過剰に作られてしまうタイプに使われます。腎臓の働きが低下している人は薬の量を調節する必要があります。
尿酸排泄促進薬 ベンズブロマロン、プロべネシド
腎臓から尿酸の排泄が少なくなっているタイプに用いられます。尿中の尿酸が増えるため、尿路結石ができやすくなるので、尿アルカリ化薬を一緒に飲む場合もあります。
生活習慣の改善
肥満の解消

基本は食べ過ぎないことです。「炭水化物」「タンパク質」「脂質」のどれか一つだけを減らせば良いというのではなく、一日の摂取エネルギー量を超えないように、栄養のバランスをとりながら食べることが大切です。

食べるときの工夫として、「野菜や汁物を食べてから肉や魚を食べる」「料理は一人分の小皿に取り分ける」「一口ごとに箸や茶碗を置く」などが勧められます。

食材選びも大切で、例えば脂肪は高エネルギーで同じ重量の炭水化物やタンパク質の2倍以上のエネルギーがあります。そのため牛肉や豚肉ならヒレやももなどの赤身を、鶏肉ならささ身や胸肉を選びましょう。

食事対策

生活習慣の改善は「食べ過ぎないこと」「飲みすぎない」「水分を多くとる」「有酸素運動を行う」ことが大切です。

「痛風発作」は尿酸値の高い状態が続くと起こりやすくなります。そのため尿酸のもとになるプリン体の摂取を控えれば痛風を防げると考える人も多いと思いますが、実際はそれだけでは不十分です。

いくらプリン体の摂取を控えても、食べ過ぎたり飲みすぎたりしてしまえば尿酸値を上げる肥満につながります。また、プリン体の少ない食べ物をとっていても、食べ過ぎれば総合的にプリン体の摂取量が増えて尿酸値は上がります。

痛風や高尿酸血症の食事対策は食生活全体を見直します。食生活に関わる重要なポイントは、「肥満の解消」、「アルコール飲料を控える」「プリン体が多い食品を摂り過ぎない」「尿をアルカリ化する食品を摂る」の4つです。

プリン体の多い食品

尿酸値が高い場合は、プリン体の摂取量を一日400mg以内に収めることが勧められています。

特にレバーは細胞の数が多いのでプリン体の摂取量も多くなります。また、干物は水分が少なく成分も凝縮しているので重量当たりのプリン体の含有量が多くなります。
プリン体を多く含む食品の例として、鶏・豚・牛レバー、いさき白子、まいわし、かつお、うなぎ、わかさぎ、ベーコンなどがあげられます。摂り過ぎには注意しましょう。

また、プリン体は水に溶けやすいので肉などはゆでたりしゃぶしゃぶにすればプリン体が少なくなります。ただし、雑炊やおじやなどにして食べると水に溶けたプリン体を摂取してしまいますので注意が必要です。

尿をアルカリ化する食品
痛風や高尿酸血症があると、「尿路結石」のリスクが高まります。尿酸にはアルカリ性に傾くと溶けやすく、結晶化しにくくなる性質があります。そのため、尿路結石の予防には尿をアルカリ化する食品を多くとるといいでしょう。
尿をアルカリ化する食品には「ひじき」「わかめ」などの海藻類、「生シイタケ」「しめじ」などのキノコ類、「ほうれん草」「さつまいも」「ごぼう」などがあります。積極的に摂りましょう。
飲酒
お酒の1日の適量を守りましょう。体内でアルコールが分解されるときに尿酸がつくられます。
ビールを控える代わりに、比較的プリン体の少ない焼酎であればたくさん飲んでもよいわけではありません。お酒1日の適量は、日本酒は1合、ビール中瓶1本、ウィスキーはダブル1杯、ワインはグラス2杯です。
水分
水分を多めにとる目安は、たとえば毎食後にお茶を1杯飲んでいたところをもう1杯追加するなどして、1日に2リットル以上の尿を出すようにしましょう。
ただし、心臓や肝臓、腎臓などの病気があり、水分摂取に制限がある場合は、医師の指示に従ってください。
運動
運動は肥満解消や合併症の改善に有効です。
筋力トレーニングや短距離走などの激しい運動ではなく、プリン体の消費が少ないウォーキングや水泳などの有酸素運動を行うことが大切です。

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