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薬と健康のトピックス

vol.41 アトピー性皮膚炎

目次
01.アトピー性皮膚炎の原因と症状
02.薬の上手な使い方
03.ステロイド外用薬
04.スキンケア
05.最新情報

1アトピー性皮膚炎の原因と症状

アトピー性皮膚炎の症状は、かゆみと湿疹です。
このかゆみは、ひどくなったり、良くなったりを繰り返します。

アトピー性皮膚炎は、ドライスキン(乾燥皮膚)の上に湿疹が起こり、左右対称に出るのが特徴です。
このドライスキンは、皮膚の一番表面にある角質の中にある「セラミド」(水分保持をしています)が少ないタイプの肌のことです。
この「セラミド」が減少し、水分を保持できなくなると、ドライスキンになりアトピー性皮膚炎の発症や悪化の要因となります。
さらに、ドライスキンになると、バリア機能を失って、少しの刺激でもかゆみが激しく、慢性的に症状がでることも大きな特徴のひとつです。

また、アトピーは年代によって症状の部位が異なります。乳児期に顔面を中心に病変があります。
幼児期になると、次第に体や手足の方が目立つようになります。
幼児期以降では、皮膚が擦れ合う部分や首の周り、ヒジ・ヒザなどの関節の屈曲面が特に強い症状が現れます。
夏には症状が軽くなり、乾燥する冬に悪化するケースも多く見られるので、スキンケアも重要になってきます。

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2薬の上手な使い方

部位によってタイプを使い分けます。

軟膏の特徴
刺激性が低く、どのような皮膚症状にも使用できますが、水洗いできないのが特徴です。
特にジクジク面やびらん面に適しています。保湿効果はありますが、ややベタベタした使用感です。
表皮からの分泌物がある所への使用は、分泌物の除去ができないため、逆に汚染源となって悪影響を及ぼすことがあります。
クリームの特徴

主薬の経皮吸収は良好で、べとつかず、水で容易に洗い流せるので使用感に優れます。
主に顔や手足に使用されます。
皮膚刺激性が若干高いので、ジクジク面やびらん面にはやや不向きです。
また皮膚からの分泌物の吸収作用がありますが、分泌物が多い所への使用は、皮膚への浸透力もあるため、分泌物が再吸収されて症状を悪化させることがあります。

夏期などの湿度が高い季節には使用感に優れたクリームが、また、冬期などの乾燥した季節には皮膚の乾燥が助長されるので、軟膏が使用されることが多いです。

ローションの特徴
液体成分の蒸発後に薄い皮膜を作り作用しますが、軟膏やクリームより経皮吸収に劣ります。乳剤性やアルコール性のローションがあり、主に頭部や腋などの毛髪部位に使用されます。
アルコール性のローションはやや刺激性があるので、傷やびらん面には不向きです。
乳剤性ローションはアルコール性に比べ刺激性は少ないです。

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3ステロイド外用薬

ストロンゲスト【Strongest:最も強い】
  • クロベタゾールプロピオン酸エステル(デルモベートなど)
  • ジフロラゾン酢酸エステル(ダイアコートなど)
ベリーストロング【Very Strong:とても強い】
  • モメタゾンフランカルボン酸エステル(フルメタなど)
  • ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(アンテベートなど)
  • フルオシノニド(トプシムなど)
  • ジフルプレドナート(マイザーなど)
  • ジフルコルトロン吉草酸エステル(ネリゾナなど)
  • 酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン(パンデルなど)
ストロング【Strong:強い】
  • デキサメタゾンプロピオン酸エステル(メサデルムなど)
  • デキサメタゾン吉草酸エステル(ボアラなど)
ミディアム【Medium:中等度】
  • プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(リドメックスなど)
  • アルクロメタゾンプロピオン酸エステル(アルメタなど)
  • クロベタゾン酪酸エステル(キンダベートなど)
ウィーク【Weak:弱い】
顔、目の周り、首などにはできるだけ、強いステロイドを長く使用しないことが、望ましいとされています。

ステロイド外用薬はよく混合されることが多いです。
その目的は、保湿剤と混合することにより重ね塗りの手間を省きコンプライアンスの向上を図ることとステロイドを希釈しマイルドにする目的があります。
また、保湿剤との混合によりステロイドの皮膚からの吸収量が上がったとの報告もあります。

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4スキンケア

具体的なスキンケアは、『肌を清潔に保つ』『保湿をする』の二点です。
まず、『肌を清潔に保つ』事はとても重要です。

基本的には肌についた細菌などによるアレルギー反応で症状が悪化することが考えられますので、肌を清潔に保ち水分補給を十分にして肌のバリア機能を高めましょう。
お仕事でなかなか実行するのが難しい人は、清潔なハンドタオルを常備する事を心がけましょう。

毎日の洗顔だけでなく、入浴や着替えも重要なスキンケアの一つです。
特に夏場は汗で蒸れやすいので、まめにシャワーを浴びるようにします。
そして汗は「拭う」のではなく、ポンポンと柔らかく叩くイメージで「タオルに水分を染み込ませる」方法をとりましょう。

そして、『保湿』です。
保湿剤については大きく分けると2種類に分かれます。
「皮膚の水分喪失を防ぐタイプ」「皮膚の水分を保つタイプ」
市販されている製品はこの両方を補うタイプが一般的ですが、刺激が強い製品もあるため、購入時には注意が必要です。

実際に使用する際も、いきなり顔に塗らずに、腕の内側や耳の裏等を使いパッチテストを行ってから使用して下さい。
近くに湿疹がある場合は手の甲等を使うのも良いでしょう。病院などでは基本的には常に保湿を心がけるように推奨しており、ステロイド、タクロリムス、ワセリンなど症状と患部の状態に合わせて軟膏での保湿が必要とされております。

ステロイドは副作用が有ると言われますが、用法をしっかり守れば後々の影響は少なく、アトピーの症状を和らげることができる薬であることには違いはありません。
処方される際に医師からの使用目的、使用方法、使用量、使用期間などを確認し、副作用の危険性などを把握してから安全に使用するようにしましょう。

洗顔料やボディーソープなどは低刺激で無添加の物が良く、化粧水などの保湿剤、また化粧品に関しても無添加の物が症状を悪化することは少ないとされます。
症状に合わせて石けんなどを使わずに、ぬる目のお湯で流すだけでも汚れを落とすことはできます。

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5最新情報

平成24年6月12日の報道で、アトピー性皮膚炎や気管支ぜんそくなどを長引かせ悪化させる仕組みとその原因となるタンパク質を佐賀大学医学部の出原賢治教授や九州大学、岐阜薬科大学などのチームが特定したことが発表されました。

その報道内容によると、研究チームは、アトピー性皮膚炎の患者の皮膚組織や血液中に「ペリオスチン」というタンパク質の量が多いことに着目しました。
ペリオスチンは、アレルギー物質(抗原)が体内に入り活性化した免疫細胞から分泌された物質(インターロイキン4、13)が刺激となって作られた物質です。
ペリオスチンが皮膚の角化細胞表面にある別のタンパク質「インテグリン」と結合することで炎症を起こすことが分かりました。
さらにペリオスチンがインテグリンと結合することによって新たな炎症誘発性物質が産生され、抗原がなくても症状が継続して慢性化する「悪循環」の仕組みを突き止めました。

マウスを使った実験で、ペリオスチンとインテグリンの結合を阻害したところ、アトピー性皮膚炎は起きなかったそうです。
今回の成果は、副作用の少ない新薬の開発や治療に役立つものと期待されています。

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