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薬と健康のトピックス

vol.40 喘息

今回は喘息について特集してみました。
小児から大人まで喘息の患者様は幅広い年齢でおりますが、使われるお薬も飲み薬以外に吸入薬などもあります。また飲み薬の中でも漢方薬が使われることもあります。
喘息の症状や薬などについての他、あまり馴染みのない漢方薬の飲み方などについても少しふれてみましたので参考になさってみて下さい。

目次
01.喘息の症状
02.日常生活における注意点
03.治療薬内服編
04.治療薬吸入編
05.漢方薬について

1喘息の症状

・ 喘息の症状は、息をするときにヒューヒューやゼーゼーという音を出す喘鳴(ぜんめい)やひどい咳によって息苦しい症状があります。
この症状は何度も繰り返し、発作という症状までおこります。
喘息の治療は長期間にわたることがほとんどです。

発作の症状は4つの段階に分けます。

小発作
症状は軽く、呼吸をするときにヒューヒュー、ゼーゼーと喘鳴はあるものの日常にはあまり影響はありません。
中発作
喘鳴がはっきりと分かるようになり、食事が少し困難になり、眠っていても何度か目を覚ますこともあります。
大発作
呼吸困難になり、息苦しさから歩くことも困難で、食事をすることも、睡眠をとることも困難になり、日常生活に影響が与えられます。
呼吸不全
発作を起こした時には、呼吸するときにのどや胸を大きく動かさなければ息ができない状態になり、酸素不足から顔色が青くなるチアノーゼや、意識錯乱が起きます。
このような状態になると極めて危険な状態ですから、救急車を呼ぶなど救命の処置を行ないましょう。
成人喘息

喘息は子供に多いと思われがちですが、今まで喘息にかかったことのない人が、大人になってはじめて発症するケースもあります。
発症が多い年齢層は40代から60代です。このあたりの年齢になると、子供の教育費など金銭的な問題、仕事では役職者になり責任に重圧を感じる、介護の心配など、過労ストレスから訴える人も少なくありません。
ストレスは体にさまざまな悪影響を与えます。自律神経の動きが乱れ、ホルモンバランスが崩れて、喘息が発症しやすくなってしまいます。
また、加齢による免疫力の低下により風邪もひきやすくなるので、喘息の要因にもなります。

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2日常生活における注意点

日常生活で喘息を起こす誘因をなるべく避けることが大切です。
喘息の治療にあたっては、これらの原因や誘因となるものをチェックし、日常生活の中で十分注意することが重要となります。
また、夜間から早朝にかけてと、季節の変わり目は発作が起こりやすくなります。
発作の起きない良い状態を保つ為にも継続したお薬の服用や使用が大切になります。

過労は喘息の大敵!

日常生活のなかには、アレルゲンの吸入や風邪による感染症など、喘息を悪化させる原因がたくさんありますが、なかでも過労は喘息悪化のいちばんの原因となります。

仕事の続きで睡眠不足が続いていたり、学校の勉強や部活、習い事などで、大人に限らず子どもも疲れを溜め込んでいます。
過労は、喘息悪化の原因だけではなく、心理的ストレスを招く原因や抵抗力が弱まって風邪などの感染症を引き起こすことにもつながります。さらに喫煙や飲酒の習慣がある方は、発作の危険性もますます高まってしまいます。

過労に悩む人の多くは、自分に無理をしていることが多くあります。
日頃から無理をしないで、疲れているときは素直に休養をとることが大切です。悪化させないためには以下のようなことを守りましょう。

ゆっくり休養をとる

疲れをためないようにし、仕事や家庭などでは無理をしない。

ぜんそくを悪化させる原因を取り除く

室内のダニやほこりなどの生活環境の整備、喫煙、飲酒、食事、睡眠などの生活習慣はぜんそくにも大きく関係しています。
なかでもダニは殺虫剤では効果がありません。寝室や居間に掃除機(ダニ取り用)をかけたり寝具を定期的に洗濯し、清潔さを保つことが大切です。

また、猫や犬、ハムスター、小鳥などペットの毛が喘息の原因になっていることがあります。喘息の人は原則として猫や犬は飼わないほうがいいでしょう。

食物によるアレルギーは主に乳幼児で関係があることがあります。原因として多いのは牛乳、卵、大豆、小麦とその製品で、成人での食物アレルギーは小麦が最も多いと言われています。
ソバアレルギーの人は、致死的な発作を起こすことがありますので絶対にソバを食べないでください。

運動や呼吸法などを考える

子どもの場合は、運動をすることで体を作っていくことが大切です。成人の場合は、激しい運動は避けましょう。また、喘息には腹式呼吸や鼻呼吸が良いとも言われています。

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3治療薬内服編

テオフィリン  テオドール、ユニフィル、ネオフィリンなど
気管支拡張作用、抗炎症作用があります。発熱時はけいれんを起こしやすく、特に小児では注意が必要になります。
喫煙により効果が弱まるので、たばこを吸い始めたり急に止める場合は注意が必要です。
経口ステロイド  プレドニゾロン、リンデロンなど
気道炎症が強い場合に短期的に用います。重症例では毎日の服用が必要な場合があります。
吸入に比べると副作用が起こりやすいです。
抗アレルギー薬
  1. メディエーター遊離抑制薬  リザベン、ケタスなど
  2. H1(ヒスタミン)受容体拮抗薬 ザジテン、セルテクト、ゼスラン、アゼプチン、アレジオンなど
    単独で用いられることはまずありません。服用により眠気が出る場合あります。
  3. LT(ロイコトリエン)受容体拮抗薬  オノン、キプレス、シングレア、アコレートなど
    気道炎症、気管支収縮等の原因となるLTの働きを抑えます。よく用いられており、副作用は少ないです。症状が軽度であれば単独でも使用されます。
  4. TXA2(トロンボキサン)受容体拮抗薬  ブロニカ
  5. Th2サイトカイン阻害薬  アイピーディなど
β2刺激薬  メプチン、ホクナリン、スピロペントなど
気管支拡張作用により喘鳴、呼吸苦を改善します。心刺激作用があるため頻脈、動悸、振戦などが起きることがあります。単独では用いられず他の薬と併用されます。
漢方薬
小青竜湯、麻黄湯、麦門冬湯、麻杏甘石湯、柴朴湯などがあります。
注射薬  ソレア皮下注(2009年3月)
新しい薬です。吸入、内服では症状をコントロール出来ない場合に限り使用されることがあります。

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4治療薬吸入編

吸入ステロイド薬

もっとも一般的に使用される吸入治療薬。強力な抗炎症作用を持ち、長期管理薬として用いられます。
バイオアベイラビリティ(吸収されて血液中に残り、全身に広がる量)が低い薬剤が用いられる為、全身性の副作用(高血圧、肥満、骨粗鬆症など)は殆どないと考えられています。
声嗄れ、口腔内カンジダなどの副作用の可能性はありますが、吸入後にしっかりうがいを行う事で予防ができます。
また、最近ではステロイドと気管支を拡張する薬の2種類が1つになった吸入薬も使用されています。

商品名物質名特記事項
パルミコートブデソニド妊娠中の安全性が高い
フルタイドフルチカゾン一番使われるステロイド
オルベスコシクレソニド1日1回で良い
アドエアフルチカゾン、サルメテロールフルタイドに気管支を広げる薬を足したもの
シムビコートブデソニド、ホルメテロールパルミコートに気管支を広げる薬を足したもの

吸入器には定量噴霧吸入器(一定量の薬が空気状、霧状に出る)とドライパウダー吸入器(粉の薬を一定量吸い込む)があります。
フルタイドディスカス、パルミコート・タービュヘイラー、シムビコート・タービュヘイラーといったドライパウダー製剤、オルベスコ、フルタイド・エアーといったガス噴霧製剤があります。
また、上手く吸入できない小児などの為に、液状の薬をネブライザー(吸入機械:後述)で霧状にして吸入する場合もあります。

β2刺激薬

空気の通り道である気管支を広げる薬。
短時間型(メプチンエアー、メプチンクリックヘラー、メプチン吸入液など)と長時間型(セレベントなど)に分かれており、短時間型は発作を和らげる際に使用、長時間型は咳の症状が出ないよう予防薬として使用を行います。
通常は単独で用いられることは少なく、吸入ステロイドと併用することが推奨されています。
過剰に吸入すると心臓に対する刺激が強くなることがあるので用法を守って使用を行います。

また、貼付剤として小児科領域ではホクナリンテープという薬が良く用いられます。
即効性はないものの、服薬が難しい小児の場合は使いやすい薬となっています。(1日1回。3歳未満は0,5mg、3歳から9歳未満は1mg、9歳以上は2mgを胸、上腕、背中に貼付します)

抗コリン薬

吸入抗コリン薬(テルシガンなど)はβ2刺激薬に比べ、気管支拡張効果が弱く、効果発現が遅い薬です。
また、呼吸器粘膜から吸入されることにより、口渇感、前立腺肥大・緑内障の悪化といった副作用が起こる可能性がありますが、心臓などに病気(狭心症、不整脈など)をもっていてβ2刺激薬を使用すると心臓に負担がかかる可能性がある方などに使いやすい薬です。

抗アレルギー薬

成人の喘息で用いられる機会は少ないものの、アトピー性が多い小児喘息では比較的効果があり、重度の副作用がないということもあるので小児科では使用頻度の多い薬です(インタール吸入液など)。

基本的な注意点
  1. 喘息は「気道の慢性的な炎症性の病気」と考えられています。咳の症状がないからといって自己判断で中止せず、決められた回数の吸入を毎日行う事が大切になります。
  2. 吸入薬には予防用と発作用があります。予防にはステロイド薬を、発作には短時間型のβ2刺激薬を用いるのが基本です。発作時の薬を使用して症状が改善しない場合にβ刺激薬を決められた回数以上に使用することは心臓に負担がかかり危険です。治まらない時には必ず受診を行いましょう。
  3. はじめての方には吸入操作は難しく感じるかもしれません。少しでも操作に不安を感じたら薬剤師に相談を行い、正しく薬を使用していきましょう。

ネブライザーとは液体の薬剤を霧状に噴霧させる為の機械の総称です。以前は医療施設で用いる大型の装置でしたが、今は家庭用の小型なもの(卓上サイズ)だけでなく、片手で持てるくらいのサイズのものまで販売されています。

  • ジェット式:高速の空気流を利用して霧吹きの原理で細かな液滴を作り出すもの。
  • 超音波式:超音波振動子によって薬剤を砕いて液滴にし、それをファンによる風にのせて噴霧するもの。
種類メリットデメリット
ジェット式比較的安価機械が大型の為、持ち運びが大変
超音波式小型なので持ち運びが便利ジェット式よりも値段が高い。電池式などが多い

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5漢方薬について

漢方治療は患者様のその時の症状や患者様個人の体質(これを「証」といいます)によって薬の処方を決めます。

漢方薬は何週間、何カ月も飲み続けないと効果がでないと言われていますが、「証」にあっていれば急性疾患でもすぐ効果が現われることがあります。
慢性疾患でも2週間以内に効果が現われてくる事が多いようです。このように薬が「証」に合う事が漢方治療の要です。

漢方薬の飲み方
病院で処方される事の多い漢方エキス製剤は複数の生薬から煎じた液を顆粒状や細粒にしたものです。
そのままぬるま湯で飲むのも1つの方法ですが、出来るだけお湯に溶かして飲むようにしましょう。生薬の独特な香りや味、苦味も効果に微妙に影響を及ぼすと言われています。オブラートに包んで飲む方もいますが、オブラートの使用は避けましょう。「証」にあった漢方薬は意外に抵抗なく飲めるケースが多いようです。
また、服用の時間はなるべく食前または食間に飲むのが良いでしょう。これは空腹時が一番吸収しやすいからですが、刺激性の強いものは食後に飲むこともあります。
いずれにせよ薬を飲む事が大切なので忘れるようなら食後でも差し支えはありません。
注意点
漢方薬にも副作用はあります。一般に多くみられるものとしては胃部不快感、下痢、食欲不振などですが、中には重篤な副作用が起こる場合もあります。
発熱、発疹、倦怠感、しびれ等の症状が起きた場合には服用を中止して医師の診察を受けましょう。
また、「瞑眩(めんげん)」といい病気が治癒する過程にみられる一過性の症状の憎悪が起こることもあり、副作用と判別しにくい場合があります。
何か気になる事がある場合は医師に早めに相談しましょう。

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