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薬と健康のトピックス

vol.38 うつ病

目次
01.うつ病ってどんな病気?
02.うつ病の症状と検査
03.うつ病を起こしやすい病気
04.うつ病の治療
05.うつ病の方との接し方
06.うつ病にならない為に

1うつ病ってどんな病気?

「うつ病」とは

「やる気が出ない」「気持ちが落ち込みがち」「テレビや新聞が面白くなくなった」「いつもと同じ事なのにやりたくない」・・など、人は誰でもいろいろな事が原因で気持ちが落ち込んだ経験がある事でしょう。
このような気持ちの落ち込みは、通常は原因が解決したり、気分転換したり、時間が過ぎる事などで自然と回復します。
ところが、原因が解決しても気分が回復せず、強いうつ気分が続いて普段通りの生活を送る事が難しくなったり、思い当たる原因がないのにうつ気分が続く状態になるのが、うつ病です。

うつ病には、気持ちの落ち込み、憂鬱な気分など「抑うつ」と呼ばれる状態と共に、意欲が出ない、考えがまとまらないなど、うつ病に特徴的な「こころの症状」がみられます。
また、多くの方に、眠れない、疲れやすいといった「からだの症状」が現われる事があります。 うつ病は、脳の中の神経の伝達がうまくいかなくなるなどの機能の異常によって起きる病気であり、「気のもちよう」「心の弱さ」などで起こるものではありません。
きちんと医師の診察を受け、適切な治療を受ければ治す事ができる病気です。

うつ病のタイプ

うつ病性障害・・うつ状態だけが続く症状で、症状の程度や、持続する期間によって大うつ病性障害(一般にうつ病と呼ばれているもの)と気分変調性障害(抑うつ症状は軽いが長く続くタイプ)に分けられます。

  • 双極性障害・・一般に「躁うつ病」と呼ばれる症状で、気分が落ち込む抑うつ状態と異常に明るくなり、活発に活動する躁状態を繰り返します。
  • 非定型うつ病・・抑うつ状態がありながらも、うつ病に典型的な症状の一部がみられないもの(若い世代に多い)

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2うつ病の症状と検査

うつ病の症状には大きく「こころの症状」と「からだの症状」があります。
気分の落ち込みなどの心の症状だけでなく、からだの調子も悪くなるのがうつ病の特徴です。また、これらの症状が、1日の中で時間とともに変化する(日内変動)のもうつ病の特徴です。多くの場合は朝が最も悪く、夕方にかけて回復していきます。

こころの症状

典型的な症状は、感情、意欲、思考の3つの面で現れます。

  • 感情・・気分が憂うつになる。理由もなく悲しい。不安や焦りでイライラする。死にたいと思うなど。
  • 意欲・・何もする気が起きない。人と話したり、会うのが面倒になる。集中力がなくなるなど。
  • 思考・・考えがまとまらない。反応が遅くなる。決断力・判断力が低下するなど。
からだの症状

うつ病はからだの不調として現れる場合があります。

代表的な症状・・睡眠障害。疲労感。倦怠感。食欲不振。眩暈・耳鳴り。味覚障害。月経不順。胃部不快感など。

うつ病の診察・診断

病院では、症状、ストレスになるような生活の中の出来事、病歴、自分の生活、家族の事などを医師と面接します。
また、チェックリストを使って症状とその程度を調べる事もあります。患者さん本人だけでなく、ご家族から話をうかがう事もあります。

『大うつ病の診断基準(DSM-Ⅳ)』

以下の症状のうち5つ以上が2週間の間に同時に起こり、生活に支障が出ている(症状のうちひとつは(1)の抑うつ気分、または、(2)の興味や楽しみの喪失がある)。

  1. 1日の大部分の時間、毎日のように気分が憂うつ。
  2. 1日の大部分の時間、毎日のように何に対しても興味と喜びを感じない。
  3. 体重の5%以上の増減が1ヶ月間にある。または、ほとんど毎日、食欲がないか、反対に亢進している。
  4. ほとんど毎日、眠れない、または寝過ぎる。
  5. ほとんど毎日、イライラしているか、何もやる気がない。
  6. ほとんど毎日、疲れやすいかまたは気力がない。
  7. 自分に価値がないと感じたり、悪いことをしたと思う。
  8. 思考力や集中力が落ちている、決断できない。
  9. 死ぬ事をしばしば考えたり、その計画を立てる。

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3うつ病を起こしやすい病気

慢性の病気の場合は、身体の不調や痛み、社会生活の変化、経済的な負担などがストレスとなり、抑うつ症状がみられる事があります。
抑うつ症状になる事でさらに体調が悪くなるという悪循環が起こる事もあります。
もとの病気が良くなってくれば抑うつ症状も良くなりますが、症状が重い場合や、もとの病気がよくなった後にも症状が残る場合は、うつ病の治療を行います。

例)
  • 神経や脳の病気・・パーキンソン病、脳血管障害(脳卒中、脳梗塞など)、脳腫瘍など。
  • 内分泌の病気・・甲状腺機能疾患、副腎皮質機能疾患など。
  • 自己免疫の病気・・関節リウマチ、ベーチェット病など。
  • その他・・心筋梗塞、癌、血液透析など。

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4うつ病の治療

うつ病の基本的な治療は、休養、薬物療法、精神療法の3つになります。

休養
字のとおり「休む」事です。抑うつ症状が強い時は、原因となっているストレスから完全に離れる事が大切です。
うつ病になる患者さんには、生真面目な方が多く、休むことに抵抗感や罪悪感を感じ、逆に頑張ってしまいがちですが、休養が必要な時には意識して休むようにすることがとても大切です。
薬物療法
脳の中の神経伝達物質であるセロトニン、ノルアドレナリンという物質の働きを高める事で気分を高めたり、意欲を出させたり、不安や緊張、イライラを取り除いたりしていきます。
抗うつ薬は効果が現われるまでに1週間から数週間かかる事があるので、効果がないと自己判断で止めたり、再発を抑える為にも症状がなくなっても急に止めずに続ける事が大切です。
症状の状態に応じて、不安を鎮める抗不安薬や、睡眠障害を改善する為に睡眠導入剤が処方されたり、抗うつ薬や抗不安薬でもうまく効果が出ない場合は抗精神病薬が処方される事もあります。
精神療法
医師との対話や様々な交流を通して、自分の性格や考え方の傾向、なぜうつ病になったのかということを理解して、そうならないよう自分をコントロール出来るようにしていきます。
精神療法の中心になるのは「一般的(支持的)精神療法」です。患者さんの話を聞き、不安な気持ちをしっかり理解した上で、症状をよくしていく為のアドバイスをしていきます。
他にも、物事の捉え方や考え方を、うつ病につながらない方向へ変えるサポートをする「認知療法」や行動に目標を設定し、達成感が得られるようにしていく「行動療法」、人間関係がうつ病になるきっかけになっている場合に、その問題が解決できるようにサポートする「対人関係療法」など、様々な治療法があり、医師がその患者さんに合ったものを選んで行っていきます。

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5うつ病の方との接し方

患者さんの気持ちに共感する。
とにかく「聴く」事に専念しましょう。相手の気持ちに寄り添う事が大切です。患者さんの不安や悩みに十分耳を傾けてから、少しずつこちら側のアドバイスを伝えていきましょう。
患者さんのペースで話を進める。
うつ病の患者さんは元々頑張り屋で責任感の強いタイプが多い為、「しっかりしなくては」「迷惑はかけられない」「自分でやらなくては」と感じています。「やりたくてもできない」患者さんに対して「しっかりして」「頑張って」という言葉はとても負担になります。患者さんが十分に頑張ってきたことを受け入れて、ペースに寄り添うように「自分を責めなくていいんですよ」「大丈夫、大丈夫」という気持ちで接しましょう。
過去の事よりも未来の話を。
患者さんはどうしても過去の事を思い出して後悔したり、自分が失敗した事を責めたりしがちです。過去の事よりもこれからの話を中心に一緒に考えていきましょう。
話しやすい質問を。
「眠れますか?」「落ち込んでいますか?」といったハイ、イイエで答える質問ではなく、「睡眠はどれくらいとれていますか?」「気分はどうですか?」など患者さんの気持ちを引き出すような問いかけをゆっくりと行うよう心がけましょう。

6うつ病にならない為に

自分を知ろう
自分を客観的にとらえて、弱点を自覚しましょう。「融通が利かない」「真面目すぎる傾向にある」など、自分を分析する事により、ストレスを回避する事が可能になります。
定期的なリラックスを。
「少し疲れた」「ため息が多いな」などと感じたら、ストレスのサインです。野外の新鮮な空気を「深呼吸」でいっぱい取り込み、全身に酸素を十分送りこみましょう。リラックス効果があるのでストレスや緊張が薄れていきます。また、仕事の合間などに休養時間を取り入れるなど定期的なリラックスを心掛けましょう。
何事も8分目で
完璧を目指すと疲れてしまいます。なんでも「8分目くらいで」と余裕をもって考えるようにしましょう。無理しすぎず、頑張りすぎず、気持ちに余裕をもたせる事が大切です。
自分を褒める
「今日は仕事を良く頑張った」「ゆっくり眠る事ができた」など何でも良いので、「できた自分」を褒めてあげましょう。
優先順位をつける癖を養おう
全てをやろうとするのではなく、大切な事柄から優先順位をつけて片付けていきましょう。1日で終わらなかった時には「明日で良い」と考えて物事を進めた方が心に負担がかかりません。
ポジティブシンキング
物事をできるだけ前向きに考えましょう。嫌なことでも、良い面・楽しい面があるはずです。視点を変えて、良い面・楽しい面を見つけてみましょう。
ひとりじゃない
自分1人で何でもやろうとすると、時として限界以上のパワーが必要になる場合があります。自分の限界を知り、友人や家族に相談して手伝ってもらう事も大切です。
ストレス解消法を見つけよう
スポーツ、料理や音楽鑑賞など何でも良いので自分の趣味となるものを見つけてみましょう。興味があるものに集中する事でストレス発散につながります。
マイペースな生活を送ろう
人にどう見られているかあまり考えずに自分のペースを大切にして生活しましょう。肩の力を抜いてリラックスする時間を設ける事が大切です。
生活の変化に要注意
就職、転職、引っ越し、結婚など生活面で大きな変化のある時は、こころやからだに疲れがたまりやすい傾向にあります。喜ばしい事であっても同様でうつ病の誘発原因になることがあるので注意が必要です。
充分な睡眠をとろう
睡眠はからだの疲れを取り、記憶を整理して脳の疲れを和らげる働きがあります。できるだけしっかりとした睡眠時間を設けましょう。眠気を感じたら仮眠でもよいので眠って脳を休める事を心掛けましょう。
軽い運動をしよう
ウォーキングなどの有酸素運動をする事で、血液循環が良くなり、体内が活性化されます。時間がなければストレッチなどでも良いので、滞った血液を流してあげましょう。
笑おう
笑いはストレスを軽減してくれます。自発的に笑顔をつくってみるだけでも効果があります。
お風呂はゆっくり
ぬるめのお風呂に30分くらい入ると自律神経が緊張状態からリラックス状態になります。血行も良くなるのでゆっくり入りましょう。

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