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薬と健康のトピックス

vol.37 肺炎について

目次
01.肺炎とは
02.肺炎の症状
03.肺炎の分類
04.肺炎の薬
05.小児の肺炎
06.肺炎の予防

1肺炎とは

肺炎とは、さまざまな病原菌の感染によって肺に炎症が起こった状態のことです。一般的には、体力が落ちている時や高齢になって免疫力が弱くなってくるとかかりやすくなります。

肺炎の原因となる細菌やウイルスは呼吸をする時に鼻や口から身体の中に侵入します。
健康な人は喉でこれらの病原菌を排除することができるのですが、風邪などをひいていたりして喉に炎症が起こっていたり、体力が落ちて免疫が弱っていたりすると病原菌が素通りして肺に入ってしまい炎症を起こしてしまいます。
ただし、風邪にかかった全ての人が肺炎になるわけではありません。肺に侵入してしまった細菌の感染力が人の免疫力を上回った場合に発症します。

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2肺炎の症状

風邪と似たような症状から始まることが多いです。風邪と違うのは、喉の痛みはあまりありません。
咳、痰、発熱等の初期症状から始まり、症状が進むと脈拍や呼吸数が上がり、全身倦怠感、呼吸困難、胸痛、チアノーゼ等の症状が現われることがあります。肺には痛覚神経はないのですが、胸膜には痛覚神経があるため、ここに炎症が及ぶと胸痛が生じます。

高齢者や心疾患、肺疾患、脳血管疾患などの基礎疾患があるとこれらの症状が現れないことがあり、気がつくのが遅れて重症化している場合が多いこともあります。

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3肺炎の分類

罹患場所による分類
市中肺炎
普段の社会生活の中で発症する肺炎です。なお、退院後2週間までに起こった肺炎は院内肺炎とみなされます。
院内肺炎
なんらかの病気で入院し、入院中に微生物が肺の中に侵入しておこる肺炎の事を言います。MRSA肺炎、カリニ肺炎などがあり、種類は様々です。なお、入院後48時間までに発症した肺炎は市中肺炎とみなされます。
原因による分類
感染性肺炎

細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、非定形型肺炎に分けられます。

「細菌性肺炎」の原因
グラム陽性菌(肺炎球菌、黄色ブドウ球菌など)
グラム陰性菌(肺炎桿菌、インフルエンザ菌など)
「ウイルス性肺炎」の原因
インフルエンザウイルス、水痘ウイルス、麻疹ウイルスなど
「非定型肺炎」の原因
非細菌性の微生物が原因の肺炎です。
マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラなど
薬剤性肺炎
いろいろな薬剤によって発症する可能性がありますが、特に抗ガン剤、インターフェロンなどが知られています。薬の使用量が多かったり、高齢者の方だったり、もともと肺に病変のある方は発症しやすい肺炎です。
アミオダロン、ゲフィチニブ、小柴胡湯など
誤嚥(ごえん)性(せい)肺炎(はいえん)

私たちが食事をするとき、食べ物や唾液は気管に入らず食道に送られます。
これは、タイミング良く気管にふたをするためです。しかし、高齢者や脳疾患のある患者では気管にふたをするタイミングがずれてしまう事があり、細菌が食べ物、唾液、胃液と一緒に肺に流れ込んでしまう事があります。
これを誤嚥と言い、この細菌が原因となって起こる肺炎が誤嚥性肺炎と呼ばれます。
高齢者に特に多く、再発を繰り返すのが特徴です。
再発を繰り返すと抗生剤に抵抗性をもつことがあり治療が難しくなります。いかに誤嚥を防ぐかが重要です。

少し難しくなりますが、嚥下(えんげ)反射や咳反射にはサブスタンPという物質がかかわっています。
このサブスタンPが減少してくると嚥下反射等が低下し、誤嚥性肺炎を繰り返してしまいます。
このサブスタンPの放出促進作用を有する物質としてカプサイシン、サブスタンPの分解を阻害する薬としてACE阻害薬、サブスタンP合成を促進する薬として、ドパミン作動薬であるアマンタジンや抗血小板薬であるシロスタゾール等が報告されています。

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4肺炎の薬

細菌性肺炎等が疑われる場合は、細菌にあった抗生剤の投与を行いますが、原因菌特定には、喀痰培養同定・感受性検査など時間がかかる事が多く、菌の種類を推定して抗生剤の選択を行うことが多いです。肺真菌症では抗真菌剤、ウイルス性肺炎では対応した抗ウイルス剤が用いられます。

入院を必要としない市中肺炎では、肺炎球菌、インフルエンザ菌、クラミジア、マイコプラズマ、黄色ブドウ球菌、レジオネラを主なターゲットとしてマクロライド系抗生剤やニューキノロン系抗菌剤を用いられることが多いようです。

マイコプラズマは、細胞壁を持たないのでβ-ラクタム系抗生剤やアミノグリコシド系抗生剤の細胞壁合成阻害薬は無効なので、マクロライド系抗生剤、ケトライド系抗生剤を第一選択薬となっています。

入院が必要とされる市中肺炎では、βラクタマーゼ阻害剤を含むペニシリン系抗生剤の点滴が選ばれます。製品名ではユナシン-Sやゾシンが用いられることが多いようです。

院内肺炎ではグラム陰性桿菌、緑膿菌やセラチア菌をターゲットとして第3世代セフェム系抗生剤を用いることが多いようです。

基礎疾患などのある患者では、その疾患によって肺炎の起炎菌に特徴があるので、過去の細菌検査の結果も起炎菌推定の助けになります。

いずれの場合にも、喀痰培養の結果や血清診断の結果が出れば、それに合わせて最適の抗菌剤に変更していくことが必要です。これは、広域スペクトラムの抗菌剤を漫然と投与してはならないからです。

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5小児の肺炎

新生児を除く乳幼児では、肺炎の3大起炎菌といえるのはインフルエンザ桿菌、肺炎球菌、モラキセラ・カタラーリスであります。
成人と異なりクレブシエラ属や緑膿菌は少ないため、第3世代セフェム系抗生剤よりも抗菌スペクトルの狭いペニシリン系抗生剤を選択するのが一般的です。

乳児では誤嚥性の肺炎も少なからず見受けられますが、高齢者と異なり誤嚥性肺炎でも緑膿菌感染症は少ないため、スルバクタム・アンピシリンが第一選択薬として選ばれます。
誤嚥性肺炎が疑わしい場合には、気道症状が治まるまで経口哺乳の禁止が必要となることもあります。

学童以上の年齢ではマイコプラズマによる肺炎が多くなります。
先にも述べましたが、マイコプラズマにはβ-ラクタム系抗菌剤が無効であるので選択されません。
さらに、永久歯が生えていない小児にテトラサイクリン系抗生剤を投与すると後に生えた永久歯に黄色く色素沈着することがあったり、また骨成長障害の副作用が報告されたりしていることも知られているので、テトラサイクリン系抗生剤は小児には投与しにくいです。
動物実験で関節障害が見られた、ニューキノロン系抗菌剤は、日本では禁忌となっています。唯一、トスフロキサシンは例外で小児への適応症を持っています。

6肺炎の予防

肺炎は日本人の死亡原因第4位に挙げられる疾患です。
かぜ→気管支炎→肺炎という経過をたどる事が多いので、風邪にかからない元気な身体を作るのが一番です。

肺炎予防6か条
規則正しい健康的な生活を送りましょう。
早寝、早起き、バランスの良い食事、基本的な事ですがとても大切です。
喫煙者は禁煙しましょう。
肺炎は空気中に漂っている細菌やウイルスを吸い込んで起こすので、禁煙も重要な予防法です。
誤嚥を防ぎましょう。
「食べ物が上手く飲み込めない」と肺にモノが入ってしまう事があり、そこから肺炎になってしまいます。
食道と気道の間にはフタがあり、このフタのしまりを早くするには、歯磨き、歯ぐき磨きが良いです。
やわらかい歯ブラシを使い歯と歯ぐき、舌や上あごなど口全体を磨くと効果が高まります。
こうすることによって、嚥下反射が改善し、誤嚥性肺炎の予防にも役立ちます。
注意として、入れ歯のある方は外して磨くようにして下さい。歯周病などの基礎疾患のある方は治療を済ませてから行って下さい。
口の中を清潔に保ちましょう。
細菌やウイルスを身体の中に入れない為にも、うがいをしっかりしましょう。
基礎疾患を治療しましょう。
慢性呼吸器疾患・心不全・腎不全・肝硬変・糖尿病などの疾患がある方は肺炎にかかりやすいのでしっかり治療をしましょう。
高齢者の場合、肺炎球菌ワクチンの接種を考えましょう。
肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの両方打つ事によって、予防効果が高まる事が確かめられています。
ただし、両方のワクチンを接種する際は、時期をずらして打つ事が勧められています。
肺炎球菌ワクチンには健康保険が使えません。
費用は病院によって違いますが、1回7~9千円位程度です。2009年1月15日現在、全国の88市区町村で公費助成制度を持っています。ご自分の市区町村で公費助成制度があるのかを確認してください。
参考までに山梨県は甲府市のみです。
肺炎球菌ワクチンは、1回ワクチンを打てば5年間は効果があるというデータがでています。
5年程度経過していれば、医師の判断で再接種を受ける事が出来るようになりました。

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